築年数はマンションを売るときにどのように影響するのか

マンションを売るタイミングとしていつがベストなのかを考えるときによく築年数が引き合いに出されます。一般的に新築や築浅のマンションには人気があり、築年数があまりにも古いと買い手が見つからなくなることは知られています。
しかし、実はマンションの売却と築年数の関係はそんなに単純なものではないので基本的なポイントを押さえておきましょう。
→手に入れてから10年前後のマンションを売るときに知っておきたいポイント
基本的には古いほど安い価格になる
誰もが簡単に想像できるように、マンションは築年数が古いほど安い価格で売買されるようになります。最新の技術を使って建てられたマンションであっても経年劣化は起こっていくのは確かで、だんだんと塗装が剥げてきたり、雨漏りを起こすようになったり、苔やカビなどが目立つようになったりしてしまうようになるでしょう。
また、地殻変動の影響によって基礎にも歪みが生じる可能性があり、建物も傾いてしまうリスクも生じます。築年数が大きくなるほどこのようなリスクは大きくなるため、住宅としての魅力も低下してしまうことは否めません。
いくらマンションの一般的な耐用年数が長いとはいえ、古いマンションと新しいマンションが並んでいたら、できれば新しいマンションを選ぶのはもっともと言えるでしょう。このため、基本的には古いほどマンションの価値は低下してしまいます。
売るなら早めの方が良いとよく言われるのは、このような資産価値の低下が引き起こされるからです。ただ、一年ごとに直線的に価値が下がっていくわけではありません。その実態についても詳細に理解しておくのが望ましいでしょう。
築20年の壁について知っておこう
マンションの価値が築年数によってどのように低下していくのかを知る上で、築20年の壁について理解しておくのが役に立ちます。マンションの相場に対する築年数の影響は築20年を境にして大きく変化するのです。一般的には新築から築20年に向かって急激な価格の低下が起こり、築10年で当初の7割程度の価値になり、築20年になると5割程度になってしまいます。
しかし、築20年を過ぎるとそれほど価格が下がっていかないようになっていき、築25年くらいで4割程度まで落ち込んだ後は築30年や40年になっても3割から4割程度の価格を維持し続けるようになっているのです。
このようにマンションの売買価格の変動は築20年を境にして大きく変わるということは覚えておきましょう。このような変化が生じるのには様々な理由があります。中古マンションを購入したいと思っている人は生涯の住処にしたいと思っている場合がほとんどで、少なくとも50年くらいは住めるマンションを選びたいと考えるのが通例です。
鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年ですが、実際には現代の建築技術で建てられたマンションなら70年から100年くらいは快適に住めると言われています。そのため、築20年くらいであれば老後までずっと住み続けることができると考えてもらえるのです。
一方、設備面に関する問題もあります。住宅設備として新しいものが揃っていれば快適に住めるのは確かでしょう。築古になってしまうと設備も古くて住みづらいと感じてしまうことが少なくありません。また、不具合が生じてしまうケースも多く、買い替えを検討しなければならない場合もあります。
あまりに古い場合には購入したらすぐにほとんどの設備を入れ替えなければならないことも多く、コスト的にも労力的にも負担がかかってしまいがちです。その点、築数年であれば特に交換する必要がなく、築10年程度になると順次入れ替えていくという程度で済みます。
設備の入れ替えにおける境界線とも言えるのが20年くらいなので、これ以降になると大差はないと認識されるようになるのです。
20年に達する前は早く売ろう
築20年でマンションの売買価格の判断基準が大きく変わることを知っていると、マンションを売るための基本的な戦略も考えられるようになります。まず、まだ築年数が20年に届いていないのであれば、売りたいと思ったらすぐに売るのが得策です。
たった一年が経過してしまうだけで価値が大幅に低下してしまう状況があるからです。特に築浅のうちほどその傾向が顕著なので、まだ築年数が少ないからもったいないと思わずに速やかに売りに出すようにするのが良いでしょう。
不要なマンションを持っていると固定資産税や都市計画税がかかってしまうという観点からも、躊躇せずにすぐに売却できるようにするのが肝心です。
20年を超えたときにはどうするべきか
既に築年数が20年に達してしまっているマンションを売ろうと考えたときには売却を焦る必要はありません。数ヶ月販売開始するのが遅れたとしても価格はほとんど差が生じないと考えられるからです。むしろ、落ち着いてどのようにして高く売るかを考える余裕を持つことが重要になります。
そのまま売っても買い手が見つかる可能性がありますが、もしかしたら設備をいくつか入れ替えた方が高く買ってくれる人が見つかるかもしれません。バリアフリーにしたり、低炭素住宅になるようにリフォームをしたりすると魅力を感じてくれる人も増えるでしょう。
このように社会に対しても貢献できるリフォームの場合には助成金などを使えることも多く、自己負担額が少なくても大きな価値を付与することが可能です。リフォームにかけた費用に比べて、マンションの売却価格への上乗せが大きくないと損をしてしまうことになりますが、少しくらい時間をかけてもベースの価値は変わらないことを念頭に置いて挑戦してみるのも良いでしょう。
売れないときの対策を知ろう
築年数があまりに古くなってしまうとさすがに買い手が見つからずに売れなくなってしまうこともあります。売りに出してみても買い手が付かないほどに古くなった場合にはどんな対策が可能なのでしょうか。最も簡単なのは不動産買取業者に相談して売ってしまう方法です。
築古のマンションであっても相応の価格で買い取ってくれます。一方、一棟マンションを持っているときなら解体してしまって土地で売るというのも選択肢の一つです。土地の価値は経年によって低下してしまうことはないので、マンションが撤去されてしまえば買い手が見つかる可能性も十分にあります。
特に立地が優れているときにはメリットが大きい方法で、解体して更地になっているなら買うのにと考えている人も大勢いるでしょう。
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