手に入れてから10年前後のマンションを売るときに知っておきたいポイント

マンションを購入してから10年前後になっているときに、引っ越しする必要が生じてしまって売りたいと思ったら気をつけておきたいポイントがあります。10年前後の所有期間だからこそ気にかけなければならないのは一体どういう点なのでしょうか。

売ってしまってから後悔しないようにするためにノウハウを習得しておきましょう。

築10年ならまだ新しいから買ってもらいやすい

マンションの所有期間が10年前後というときにもシチュエーションは二通りあります。購入したときには新築でまだ築10年前後というケースと、中古マンションを購入したので築年数はもっとずっと古いというものです。

この状況の違いに応じて売り方もよく考えた方が良いでしょう。高く売れるか、そもそも買い手が見つかるかという点から色々な問題が生じ得るからです。まず、新築マンションを購入したというケースを考えると、築10年くらいであればまだ何十年も住むことができる状態なので中古マンションとして売りに出しても買い手がすぐに見つかる可能性があります。

中でも、居住エリアとしてある程度の人気がある地域なら、むしろ好物件として目を向けてもらえると期待できるでしょう。売れないのではないかという心配をする必要はなく、むしろ買い手がいるはずだと強気になって売るのが高額での取引を実現するためには欠かせません。

一方、中古マンションを購入して10年前後という場合には築年数によっては買い手が見つからないこともあります。築浅で買ったなら20年未満程度の築年数になっているでしょう。このくらいであればまだ買いたいという人はたくさん見つかると期待できるのは確かです。

しかし、購入時点で築20年となると既に築30年となり、買って住みたいという人がかなり少なくなってしまいます。それでも売れるようにするにはどうしたら良いかをよく考えて、売却しなければならないのが築古のケースです。

→築年数はマンションを売るときにどのように影響するのか

築10年なら買取よりも仲介を優先して考えよう

マンションを売る方法は大まかには仲介と買取に分けることができます。新築や築浅でマンションを購入して、今はまだ築10年程度というのなら買取よりも仲介を優先して考えるのが賢明です。一般的には買取価格は仲介により売買価格の6割から7割程度になってしまうからです。

それでも買取を利用する人がいるのは、買い手が見つかりにくい物件であっても買い取ってくれる、仲介のように買い手が見つかるまで待たなければならないことはないという二つのメリットがあるからでしょう。特に居住地として人気がないエリアでない限りは、築10年くらいなら買い手が見つかる可能性は十分にあります。

すぐにでも売らなければならない状況でない限りは仲介を利用するようにしましょう。

中古を買って10年なら売り方をよく考えよう

中古マンションを購入してから10年くらい経ったというケースでは特別に築浅だった場合を除くと売り方をよく考えなければなりません。中古マンションの流通量が少なく、住みたいという人も多いエリアの場合には築20年や30年であったとしても買い手が見つかることはよくあります。

例えば、都心に比較的安い中古マンションがあるなら10年か20年くらい住むつもりで買おうと思う人もいるでしょう。しかし、ベッドタウンで次々に新しいマンションが建てられているようなエリアで、築30年のマンションを売りに出してもあまりに差が大きくて買ってくれる人はなかなか見つかりません。

地方についても同様で、ニーズがあるのかをよく調査して仲介でも売れる可能性があるかを吟味するのが肝心です。仲介で売れる可能性が十分にあるならまずは仲介から始めるのが良いでしょう。逆にニーズがほとんどないマンションという場合には買取を最初から検討した方が手間がかかりません。

どちらかよくわからない場合には仲介から買取へという流れを検討するのも良い方法です。まずは仲介で数ヶ月間販売してみて、買い手が見つからなかったら買取を依頼するという流れになります。買取保証のある不動産会社に相談しておけばスムーズに仲介から買取へ切り替えることができるでしょう。

譲渡所得が生じるなら10年間は所有しよう

手に入れてから10年くらい経過しているマンションを売るときにもう一つ気にかけておきたいポイントは税金です。マンションを売るときに譲渡所得が生じると譲渡所得税と住民税を納めなければならなくなります。譲渡所得税は所有期間によって税率が異なる仕組みになっていて、5年以下なら短期譲渡所得、5年を超えていれば長期譲渡所得として扱われるのが原則です。

ただ、マイホームとして使われてきたマンションの場合には特例が設けられていて、10年を超えている場合にはさらに税率が下がります。譲渡所得が生じるなら10年間は所有していた方が税額が少なくて済むのです。どのくらい違うのかは把握しておかなければならない点でしょう。

所得税を例にとると短期譲渡所得の場合には税率は30.63%なのに対し、長期譲渡所得になると15.315%になります。つまり、この時点で税額が半分になることになるのです。さらに、10年を超えているときには6,000万円以下の譲渡所得に対する税率が10.21%と3分の2になるので大きな節税になるのは明らかでしょう。

また、6,000万円を超える部分については通常の譲渡所得税と同じ税率になりますが、もう少しで10年になるというときは少し待ってみるのも良い方法だと言えます。

譲渡所得が生じるかはどうやって考えると良いか

譲渡所得が生じないケースではわざわざ10年も持っている必要はなく、たとえ7年目に売ってしまっても違いはありません。課税対象となる譲渡所得は譲渡収入から取得費と譲渡費用を引き去り、さらに特別控除を適用したものになります。

取得費は購入時に払った費用、譲渡費用は売却時にかかった諸経費に相当するもので、これを売買によって得られたお金である譲渡収入から引き去った金額がまずプラスになるかが重要です。これがマイナスなら譲渡所得税を支払う必要がありませんが、プラスになっているときでもマイホームとして使っていたマンションなら3,000万円の特別控除を適用できます。

3,000万円を引いてもなおプラスになるというときには、その残額に税率をかけたものが譲渡所得税として支払わなければならないものです。住民税もあることを考慮し、メリットが十分に大きいなら10年間は所有してから売ることも検討しましょう。